2026年10月7日(水)午後2時から、筑波大学大学会館講堂において、2026年度篤志解剖体慰霊式が執り行われました。医学の教育・研究を支えてくださった方々を追悼し、ご遺族の皆様に深い感謝をお伝えする式典です。今年度は235柱の御霊に祈りを捧げました。
式では、永田学長の挨拶に続き、故人のお名前が奉読され、参列者による黙祷が行われました。その後、佐藤豊実医学群長、白菊会会員代表、学生代表の医学群医学類2年・Hさんが追慕の辞を述べました。ご遺族、来賓、教職員、学生らによる献花を通じて、それぞれが感謝と追悼の思いを捧げました。
解剖学実習は、人体の構造を自らの目で確かめ、医学の基礎を身につける大切な学びの場です。教科書や図譜に示された知識を、実際の身体に向き合いながら理解する経験は、医療者としての歩みを支える土台となります。同時に学生は、その身体が一人の方の人生を刻んだものであり、ご家族にとってかけがえのない存在であったことを心に留め、生命の尊厳と医療に携わる責任を学びます。
こうした教育は、ご献体くださる方々の尊いご意思と、その思いを受け止めてくださるご家族のご理解によって成り立っています。また、病理解剖や法医解剖を通じて得られる知見も、病気の理解や死因の究明など、医学と社会を支える重要な役割を担っています。慰霊式は、これらの学びの背後にある一人ひとりの存在をあらためて心に刻む機会です。私たちは、託された学びを日々の教育・研究、そして将来の医療へとつなげていかなければなりません。故人の御霊に謹んで哀悼の意を表するとともに、ご遺族の皆様、白菊会の皆様、慰霊式の準備と運営に携わる関係者の皆様に、深く感謝申し上げます。

追慕の辞
本日、筑波大学篤志解剖体慰霊式が執り行われるにあたり、解剖実習のためにご献体くださった皆様に、医学群医学類の学生を代表して、謹んで追悼の言葉を捧げます。
私たちは、ご献体くださった皆様とご遺族の皆様のご厚意により、貴重な解剖実習の機会をいただきました。
実習が始まる前、私は強い緊張と不安を抱いていました。ご遺体を包む覆いを開いたときにも、自分に解剖実習を全うできるのだろうかと自問していました。しかし、静かに横たわるご遺体と対面したとき、医学の発展に託されたご意思の重みを感じました。そして、医学生として最大限の敬意をもって向き合い、この機会を決して無駄にしてはならないという強い覚悟を持ちました。
解剖を進める中では、人体の力強さと精密さ、その多様性、そして生命の不思議さに驚かされました。主要な血管や神経は想像以上に太く、一方で、その細い枝は、目を凝らして確かめなければならないほど繊細で、全身に張り巡らされていました。
筋肉や脂肪のつき方、血管や神経の走行、臓器の大きさなどには個人差があり、教科書の記載だけでは捉えきれない人体の姿を学びました。構造の同定や剖出に苦労し、自分の知識や技術の不足を痛感することもありました。それでも、班員や他の班の学生と情報を共有して教え合い、先生方に質問を重ね、一つ一つの構造を十分に理解できるよう努めました。また、臨床の場で重要となる実践的な知識についても、積極的に学ぶよう心がけました。
自分の手で解剖し、確かめた構造は、強く印象に残っています。教科書で学んだ知識と実際の人体が結びつくことで、立体的な構造や、周囲の組織との関係を、より深く理解することができました。
実際に解剖して人体の神秘を実感するとともに、自分の知識や理解が、まだ十分ではないことも痛感しました。将来、医師として診療や手術に携わる際には、人体の構造を十分に理解し、一つ一つの判断や手技に責任をもって臨まなければなりません。そのために、医学生として、より一層勉学に励む必要があると自覚しました。今回学ばせていただいたことを決して無駄にせず、これからの学びにつなげてまいります。
結びに、尊いお身体を私たちの学びのために託してくださった皆様と、そのご意思を支えてくださったご遺族の皆様に、改めて心より感謝申し上げます。
故人の皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、今回の学びを胸に刻み、今後も医学の道に邁進することをここに誓い、追慕の辞といたします。
令和八年十月七日
筑波大学医学群医学類二年 K.H.











