第114回日本解剖学会関東支部学術集会に参加しました

10月24日、東京都品川区の昭和医科大学旗の台キャンパスで、第114回日本解剖学会関東支部学術集会が開かれました。同大学歯学部口腔解剖学講座の野中直子先生が大会長を務め、一般演題22題と特別講演1題が組まれました。

昭和医科大学は、1928年にこの地で開校した昭和医学専門学校を前身としています。医学部、歯学部、薬学部、保健医療学部を擁し、2025年4月に昭和大学から現在の名称に変わりました。旗の台は大学創立以来の場所で、当時は「旗ヶ岡」と呼ばれていたそうです。東急池上線と大井町線が交わる旗の台には、地名にまつわる古い伝承もあります。平安時代、平忠常の乱の平定に向かう源頼信がこの地に陣を置き、源氏の白旗を掲げて戦勝を祈ったことから、「旗岡」「旗の台」と呼ばれるようになったと伝えられています。近隣の旗岡八幡神社に、その由緒が残されています。

学会の午前の発表は、骨格筋の細胞膜修復に関する研究から始まりました。膜が傷ついた際に集まるタンパク質や、修復に使われる小胞体由来の膜の動きを、顕微鏡で追った報告です。マウスの膣形成における細胞死、加齢に伴う骨髄の脂肪化、イヌ骨肉腫細胞の分化など、組織が形づくられ、変化していく過程を調べた研究も続きました。

神経科学の演題では、腸内細菌と腸管神経系、ビタミンC欠損による呼吸中枢の障害、海馬神経細胞の樹状突起形成、社会ストレスと血糖変化などが扱われました。私たちの研究室からは、大学院生のKさんが参加し、発達期大脳皮質におけるIL17RAの発現について発表しました。皮質視床投射ニューロンへの発現と、母体免疫活性化による変化に着目した研究です。

午後の特別講演では、同大学医学部法医学講座の城祐一郎先生が、松橋事件を題材に司法解剖における計測の重要性を論じました。身体に残された損傷と凶器との関係を考える際、もとの観察や計測が正確であったかが問われます。解剖所見が司法判断に用いられることの重みを考える内容でした。続く発表では、肘筋の支配神経、口蓋の発生、顔面動脈の変異、内閉鎖筋の構造などが取り上げられました。献体の解剖にCTやMRI、三次元計測を組み合わせ、手術や画像診断に関わる課題が検討されました。熱中症による臓器障害や高齢者の膵嚢胞性病変などの報告を経て、最後は森鴎外と野口英世の解剖学講義についての発表でした。鴎外による美術解剖学と、野口による歯の解剖学教育という、二人の医学者の仕事の一端が紹介されました。

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