筑波大学白菊会の会報第44号(2026年10月07日発行)は、献体に託された思いと、それを受け止めて成長する医学生の姿を伝えています。医学教育の意義を語る巻頭言、慰霊式の追慕の辞、会員の随筆や詩、学生の実習感想文を通じて、生命への敬意と人を支える心が描かれています。
巻頭の「医学教育の源流」では、佐藤豊実医学群長が、自身の経験を振り返りながら、解剖実習を医師としての自覚と責任が芽生える大切な出発点に位置づけています。学生時代から専門医となった後まで続く学びの根底には、献体された方々とご家族への感謝があり、その恩に患者さんへの誠実な医療を通じて応えていく姿勢が示されています。令和7年度の慰霊式で述べられた追慕の辞には、医学の発展と次世代の医療者育成を願う会員の思い、学びの機会を支えるご家族への深い敬意が込められています。学生代表も、得られた知識や経験を将来の医療へつなげていく決意を表しています。
会員の寄稿では、「献体は献心」という言葉に託された志をはじめ、結婚式の思い出、写真や芸術を楽しむ日々、人間の尊厳、人生を振り返る詩、父への追憶などが綴られています。一人ひとりの歩みや家族との関係、日常を大切にする姿勢が伝わり、会員相互の心の交流を感じさせます。誌面の多くを占める学生の感想文には、六週間の実習を通じた学びと心の変化が記されています。人体の精緻さや個人差を知ること、自ら観察し考えること、仲間と協力することの大切さに加え、一人の人間として相手に向き合う姿勢が語られます。また、実習への戸惑いや学習上の困難を率直に振り返りながら、支え合うことの意味や、一人ひとりの人生に思いを寄せる大切さを確かめています。学びを支えてくださった方々への感謝を胸に、患者さんとご家族に信頼される医師を目指す思いが共通しています。巻末には会員に関する記録や会の規約、各種案内も収められ、白菊会と大学、学生、ご家族をつなぐ会報となっています。
