皆さん、解剖実習を終えられ、本当にお疲れ様でした。今は、疲れよりも、無事に実習を終えたという安堵の気持ちの方が大きいかもしれません。
私の考えでは、解剖実習を一通り終えたこの時点こそが、皆さんにとって医師としての本当のスタートラインです。その意味を込めて、まずは「おめでとう」と申し上げたいと思います。本当におめでとうございます。
実習を通して、思っていたよりも難しかった、大変だった、あるいは十分には理解できなかったなど、さまざまな感想を持たれたことと思います。しかし、何より大切なのは、まず自分の目で一生懸命に観察することです。手を動かし、観察し、そこで見たものが何であるのかを自分で考える。この過程を繰り返していくことが、非常に重要です。
なぜなら、皆さんがこれから学んでいく臨床も研究も、いずれも人間を相手にした実学だからです。医学は、人の役に立つことを目的とする学問です。したがって、目の前にいる患者さんの状態をしっかり観察し、自分で考え、判断していく力が求められます。
解剖実習は、その基礎となる訓練として、極めて大切な意味を持っています。教科書に書かれた知識を覚えるだけではなく、実際に観察し、考え、理解しようとする姿勢を身につける場であったと思います。
これから試験もありますので、試験勉強に取り組むことももちろん大切です。しかし、この実習には、皆さんが今後、医学を学び、臨床や研究に進んでいくうえでの基礎となる内容が多く含まれています。最後までやり遂げられたことを、本当にうれしく思います。
これからの皆さんの成長と活躍を、心から期待しています。
2026年6月19日(金) 筑波大学 医学群医学類 系統解剖実習 納棺式にて
医学医療系 生命医科学域 解剖学・神経科学研究室 教授
武井 陽介



