Journal Club (January 24, 2022)

Nature Article volume 599, pages 662–666 (2021)
Published: 17 November 2021
Herpesviruses assimilate kinesin to produce motorized viral particles (ヘルペスウイルスはキネシンと同化してモーター駆動のウイルス粒子を作る)
Caitlin E. Pegg, Sofia V. Zaichick, Ewa Bomba-Warczak, Vladimir Jovasevic, DongHo Kim, Himanshu Kharkwal, Duncan W. Wilson, Derek Walsh, Patricia J. Sollars, Gary E. Pickard, Jeffrey N. Savas & Gregory A. Smith
Department of Microbiology-Immunology, Northwestern University Feinberg School of Medicine, Chicago, IL, USA (ノースウェスタン大学フェインバーグ医学院)

*ノースウェスタン大学はアメリカ合衆国イリノイ州シカゴ郊外にキャンパスを構える1851年創立の私立大学である。世界で最も権威のある学術機関の中でランク付けされており、22人のノーベル賞受賞者、42人のピューリツァー賞受賞者等を輩出している。大学評価の世界的指標である The Times Higher Education 「世界大学ランキング 2020」では世界第22位を始め、各種ランキングで常に上位に位置する。(Wikipediaより)

要旨

 神経栄養学的αヘルペスウイルスは、露出した粘膜組織で感染を開始し、他のウイルスとは異なり、感覚神経や自律神経に急速に広がり、生涯にわたる潜伏期間を確立する1。宿主の生涯を通じて末梢神経系から散発的に反復感染し、中枢神経系にも侵入して重篤な結果をもたらすこともある2。これらのウイルスは、神経軸索の微小管に沿って輸送するために細胞モーターを直接採用しているが、ウイルスを神経核に送り込むために細胞モーターがどのように操作されているかはわかっていない。今回、単純ヘルペスウイルスI型と仮性狂犬病ウイルスをαヘルペスウイルスのモデルとして用い、細胞内のキネシンモーターが上皮細胞内でウイルス粒子に取り込まれ、細胞間を移動し、その後、神経細胞内で核への移動に利用されることを示した。キネシンを持たないウイルスは、神経に侵入しない。今回の発見は、アルファヘルペスウイルスの神経侵襲メカニズムの重要な構成要素を説明するものであり、これらのウイルスがプロウイルスの必須構造要素として細胞性タンパク質を同化していることを示している。このようなウイルス同化の原理は、他のウイルスファミリーにも当てはまる可能性があり、感染症対策の新たな戦略となるだろう。

Discussion

 注目すべきは、HSV-1がキネシン-1モーターを使用していることである。キネシン-1モーターは神経細胞に内在するものではなく、以前に感染した上皮細胞に由来するものであり、そこからウイルス粒子が出現している。細胞内のタンパク質(この例では微小管モーター)をウイルスの必須構造要素として再利用することは、筆者らの知る限り前例がなく、このプロセスを「同化(assimilation)」と呼んでいる。

 ヘルペスウイルスのpUL36タンパク質に同化したキネシン-1は、ウイルス粒子を中心体から核へと移動させることで、あらゆる種類の細胞への感染を促進した。内在性の細胞性キネシン-1も、同化したキネシンに取って代わることはできなかったが、侵入してきたウイルス粒子の中心体から核への移動を助けていた。例えば、キネシンを同化させることで、ウイルス粒子が中心体に到達した際にダイニンを圧倒するようになり、そこでさらにキネシンモーターを獲得することができるのかもしれない。あるいは、細胞内のキネシンは、ウイルスの輸送には直接関与せず、代わりに中心体から核に向かって伸びる微小管を安定化させ、同化したキネシンが移動するための基盤を維持しているのかもしれない。とはいえ、HSV-1とPRVが同化キネシンに依存していることから、細胞内に侵入した際に豊富に存在するキネシンモーターでは、これらのウイルスを効果的に核に輸送するには不十分であることがわかる。このように、キネシンモーター以外の細胞内タンパク質も同化の対象となるのかどうか、また、このプロセスはαヘルペスウイルス以外にも及ぶのかどうか、という疑問が生じる。

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