構造が機能を決める:神経線維研究の転換点

ジョセフ・アーランガー(Joseph Erlanger, 1874–1965)は、1月5日神経線維の機能的多様性を電気生理学的に解明し、現代神経科学の基礎を築いた研究者です。彼は、神経は一様な伝導特性をもつという当時の素朴な理解を改め、線維径や髄鞘化の違いに応じて伝導速度が体系的に異なることを実験的に示しました。この成果は、神経系の情報処理が構造的多様性に支えられていることを明確にし、感覚・運動・自律機能の理解を飛躍的に前進させました。

アーランガーの業績の核心は、ハーバート・S・ガッサーとともに確立した神経線維の分類(A、B、C線維)です。彼らは高感度の増幅器やオシロスコープを用いて、複合神経活動電位を解析し、太く有髄のA線維ほど速く、細く無髄のC線維ほど遅いという伝導特性を定量化しました。これにより、触覚や運動制御の迅速な伝達と、痛覚や自律神経反応の緩徐な伝達という機能差が、物理的・生理学的基盤に根差すことが明確になりました。この分類は、疼痛研究、麻酔学、臨床神経学に直結します。例えば、局所麻酔薬が線維径や髄鞘の有無によって作用感受性が異なる理由の理解は、アーランガーらの成果に負っています。また、末梢神経障害や脱髄疾患における症状の選択性(運動障害、感覚障害、疼痛の質的差異)を説明する枠組みも、この線維分類から導かれました。

重要なのは、アーランガーが測定技術と概念の両面を刷新した点です。電気生理計測の精度向上は、単一ニューロン活動やシナプス伝達研究への道を開き、後の神経回路解析や脳機能研究の基盤となりました。こうした貢献により、彼とガッサーは1944年ノーベル生理学・医学賞を受賞しています。アーランガーの仕事は「神経はどのように速さを使い分け、機能を分業するのか」という根本問題に、実験的証拠で答えを与えました。

https://www.nature.com/articles/154572a0

今朝は雪が降る天気でしたが、昼からは日差しがさしてくれました。寒い中、学生たちが実験を頑張りました。学外での実習を終えた医学類の学生が、実験の下ごしらえをしました。地味な実験ですが、大事な情報を得ることができるはずです。粘り強く一つのことに取り組む姿勢は、臨床でも研究でも必ず役立つはずです。年度末まで怒涛の日々ですが、若い方に負けないように作業を進めたいものです。

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