心をつなぐ季節に、生まれた一筋の光

心臓移植の歴史は、20世紀初頭の動物実験から始まり、1967年12月に大きな転機を迎えました。12月3日、南アフリカのクリスチャン・バーナードが世界初のヒト心臓移植を実施し、移植心は良好に機能しました。患者は肺炎で18日後に死亡したものの、「心臓は移植可能な臓器である」ことを世界に示し、各国で臨床移植が相次ぐ契機となりました。続く12月6日には、ニューヨークのエイドリアン・カントロウィッツが生後19日の乳児に世界初の小児心臓移植(米国初の心臓移植)を行いました。患者は数時間で死亡しましたが、新生児・小児にも移植という選択肢があり得ることを提起し、同時に脳死基準やドナー選択などの倫理的課題を明確にしました。

1967年の成功をきっかけに移植例は急増したものの、当時の免疫抑制薬では拒絶反応と感染を十分に制御できず、多くの症例が短期死亡に終わり、世界的に移植プログラムは一時停滞しました。状況が大きく変わったのは1980年代で、カルシニューリン阻害薬シクロスポリンの導入により生着率が飛躍的に改善し、心臓移植は再び標準治療として確立していきました。この流れの中で、1982年12月2日にはJarvik-7総人工心臓がヒトに植え込まれ、心臓移植待機患者を救うための補助循環技術の重要性も認識されるようになりました。こうして心臓移植は、免疫抑制、感染管理、人工心臓技術の進歩とともに発展し、現在では末期心不全に対する主要な治療選択肢として確立しています。

本日は、学会を終えた学生がサマリーを作成してくださいました。医学類の方はin vitro実験を頑張りました。若い人の元気に負けないように、スタッフも精進したいものです。

https://www.osaka-transplant.com/heart8

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