しのびよる雷雲

医療科学類の学生は、卒業研究中間発表会が終了したので夏休み?のようです。夕方から、雷雨になりましたが、医学類の学生が来室して実験をしてくれました。M4の方は、CBTとOSCEお疲れ様でした!

1953年9月1日(8月25日とする説もあり)、重度のてんかん発作に苦しんでいたヘンリー・モレゾン(後に「H.M.」として知られる)は、コネチカット州ハートフォード病院で神経外科医ウィリアム・スコヴィルによる両側内側側頭葉切除術を受けました。スコヴィルは発作の焦点を取り除く目的で、両側の海馬、扁桃体、海馬傍回を含む領域を切除しました。この手術によって発作はある程度軽減されましたが、予期せぬ深刻な副作用が生じました。H.M.は手術後、新しい事象を長期記憶として保持できなくなる前向性健忘と、手術数年前までの記憶を喪失する逆行性健忘を発症しました。ただし、短期記憶は保持され、また鏡映描写課題などに見られる手続き記憶は保たれていました。これにより、記憶には複数の種類が存在し、その形成には海馬が不可欠であることが世界で初めて明確に示されました。心理学者ブレンダ・ミルナーによるH.M.の詳細な研究は、記憶の神経基盤を理解する上で画期的な発見をもたらし、現代の認知神経科学の礎を築きました。この事例は、てんかん外科の一症例にとどまらず、記憶研究の歴史を根本から変えた出来事として記憶されています。

「神経科学界で最も有名な脳」をデジタル化

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