蝉の声が響き渡る午後、じりじりと肌を焼くような陽射しが構内を包んでいます。アスファルトの上には陽炎が揺れ、空気までもが重たく感じられる。まさに、夏がその存在を全力で主張しているかのようでした。そんな午後、ふと風向きが変わり、空が鈍色に染まり始めました。西の空から流れ込む黒い雲が、みるみるうちに空を覆い尽くします。そして第一声。閃光が空を裂きます。やがて、大粒の雨が音を立てて降り始めました。暑さで乾ききっていた地面が一気に濡れ、湯気のように立ち上る水蒸気がまた、夏の匂いを濃くします。雷鳴とともに一時の静寂が訪れ、熱を帯びた午後は少しだけ息を吹き返します。激しい夏の表情と、移ろいやすい空模様。そのどちらもが、今年の夏を確かに形づくっています。お盆休み前の時間、春学期の総まとめをしながら、研究に少しでも時間を作れるように藻掻いています。