本日も3限から〇〇実習で上肢の動脈や神経系、足底部の構造の理解に取り組みました。明後日から△△試問や小テストが連続してあります。医学類の学生の方には、その底力を見せていただきたいです。夕方、疲労した体を引き摺りつつ(基本立ち仕事なのと、微妙な中腰姿勢が負担になるようです)研究室に戻りますと、学生たちが神経科学の教科書の輪読会やセミナーの準備を行っていました。もう少し彼らと丁寧に向き合う時間が欲しいです。18:30からラボセミナーを通常通り行いました。M4の学生が研究進捗報告を、医療科学類4年生が論文紹介を行いました。技術的な質問が多く出ました。司会のTさんも安定した進行でした。OSCEやCBTが近いですが、時間を少しでも多く共有したいです。
明日も1限からZZ講義、2限から実習に取り組みます!
BMC Psychiatry. 2024 Oct 18;24(1):703. doi: 10.1186/s12888-024-06163-7.
Effects of 6-week olanzapine treatment on serum IL-2, IL-4, IL-8, IL-10, and TNF-α levels in drug-naive individuals with first-episode schizophrenia (初発統合失調症薬物未使用患者における6週間のオランザピン治療が血清IL-2、IL-4、IL-8、IL-10およびTNF-α濃度に与える影響)
Xiaofeng Zhao # 1, Wenli Zhu # 2, Yangying Bu # 3, Junwei Li 3, Yihui Hao 4, Yuxiao Bi 4
Department of Psychiatry, First Affiliated Hospital of Zhengzhou University, China
Keywords: Interleukin-10; Interleukin-2; Interleukin-8; Schizophrenia; Tumor necrosis factor-alpha.
Abstract
統合失調症患者では炎症性サイトカイン(IL-2, IL-4, IL-8, IL-10, TNF-α)の変動が病態形成に関与している可能性が示唆されているが、抗精神病薬治療後の変化に関するデータは一貫性がない。本研究では、初発・薬物未使用の統合失調症患者に対して6週間のオランザピン治療前後の血清サイトカイン濃度と臨床症状の関連を検討した。IL-8は健康対照群より有意に低く、IL-10は有意に高かった(P < 0.001)。IL-2およびIL-10はPANSS各下位尺度と正の相関を示し、IL-8は陰性症状スコアと負の相関を示した(r = −0.172, P = 0.040)。治療後、IL-8は低下し、IL-10とTNF-αは上昇した(全てP < 0.05)。IL-10は治療効果の独立したリスク因子であった(P = 0.02, OR = 2.327)。
Background
統合失調症は慢性で再発性の高い精神障害であり、免疫・炎症系の異常が関与する可能性が高まっている。特にIL-2、IL-4、IL-8、IL-10、TNF-αなどのサイトカインが症状や治療反応に影響を与えるとされている。
Methods
142名の初発統合失調症患者と100名の健康対照者を対象に、治療前およびオランザピン6週間投与後の血清IL-2、IL-4、IL-8、IL-10、TNF-αをELISA法で測定し、PANSSで臨床症状を評価。統計解析にはMann-Whitney検定、Spearman相関分析、Wilcoxon符号付き順位検定、二項ロジスティック回帰分析などを用いた。
Results
- IL-8:患者群で低下、治療後さらに低下(P < 0.001)
- IL-10:患者群で上昇、治療後さらに上昇(P < 0.001)
- TNF-α:治療後に上昇(P < 0.01)
- IL-2:症状スコアと正の相関
- IL-10:すべてのPANSS下位尺度と正の相関
- IL-8:陰性症状スコアと負の相関
- IL-10は治療反応性の独立リスク因子(OR = 2.327)

Figure 1 の図注説明とその内容:
*“Fig. 1 Serum levels of IL-2, IL-4, IL-8, IL-10, and TNF-α in patients with schizophrenia and in healthy controls. ***P < 0.001, *P < 0.01, and NSP > 0.05”
図の構成と内容(サブセクション別)
Figure 1a: IL-2の血清濃度
統合失調症患者と健康対照群の間で有意差なし(NSP > 0.05)
Figure 1b: IL-4の血清濃度
統合失調症患者と健康対照群の間で有意差なし(NSP > 0.05)
Figure 1c: IL-8の血清濃度
統合失調症患者群で有意に低い(P < 0.001)
→ IL-8の低下は陰性症状の重症度と関係している可能性がある(本文にて)
Figure 1d: IL-10の血清濃度
統合失調症患者群で有意に高い(P < 0.001)
→ IL-10は炎症抑制性サイトカインであり、病態や治療反応と関連
Figure 1e: TNF-αの血清濃度
統合失調症患者と健康対照群の間で有意差なし(NSP > 0.05)
まとめ
この図は、統合失調症患者と健康対照者との間でのサイトカイン濃度の比較を示しています。統計的に有意な差が見られたのはIL-8(低下)およびIL-10(上昇)であり、これらのサイトカインが病態と関連していることが示唆されます。
他の3つ(IL-2, IL-4, TNF-α)についてはこの時点での群間差は見られませんでした。
Discussion
本研究では、炎症性サイトカインが統合失調症の症状およびオランザピン治療への反応と関連することが明らかになった。特にIL-10とIL-8は治療効果および疾患重症度に強く関与する可能性がある。オランザピンは免疫バランスの修復に寄与し、炎症を抑制する可能性がある。オランザピン治療前後での血清サイトカインの変動を、反応群と非反応群を比較して詳細に検討した点が新規性。IL-10を治療成否のバイオマーカーと示した点も新しい。
Limitations
サンプル数はパイロットスタディを基に計算されたが、疾患の異なる状態(軽症〜重症、亜型など)におけるサイトカイン変化の一般化には制限がある。今後はより大規模な研究が必要。
Potential Applications
IL-10やIL-8などの炎症性サイトカインをバイオマーカーとして用いることで、統合失調症の治療効果予測や個別化医療への応用が期待される。免疫調節をターゲットにした新規治療戦略にもつながる可能性がある。








