初夏の陽ざしがまぶしく輝き、風が草の香りをはらんで頬をなでる頃、季節はひそやかにその表情を変え始めます。空は次第に高くなり、青さの中にうっすらと灰色の気配が混じると、梅雨の足音がすぐそこまで近づいてきていることに気づかされます。田畑の稲は柔らかな緑をたたえ、雨を待ち望むかのように葉を震わせています。山の輪郭も湿り気を帯び、遠く霞むその姿は、まるで夢の境界のようです。木々の葉はしっかりと厚みを増し、雨を受け止める準備を整えています。時折吹き抜ける風の中に、かすかな湿りと土の匂いが混じり始めると、人の心もどこかやわらぎ、静かな期待に包まれます。
空模様は気まぐれに変わり、晴れ間の後に薄い雲が流れ、やがてしとしとと細かな雨が降り出します。その雨は、夏の前触れとして大地を潤し、生き物たちの息吹を優しく促していきます。蛙の声が響き始め、紫陽花の色づく気配が近づいてくると、季節は確かに、またひとつ深まろうとしているのです。
こうして、初夏と梅雨は静かに手を取り合い、風景と心を少しずつ変えていきます。そのうつろいに身をゆだねながら、私たちはまた、新たな季節の物語を受け入れていくのです。昼は実習にかかりきりになっていて、研究室を不在がちにしますが、学生たちが研究を頑張ってくれています。彼らの頑張りに答えられるように種をまき続けることにします。






