Journal Club (February 1, 2021)

Postnatal connectomic development of inhibition in mouse barrel cortex (マウス体性感覚野バレル皮質の抑制性回路の生後発達)
Anjali Gour,Kevin M. Boergens, Natalie Heike, Yunfeng Hua, Philip Laserstein, Kun Song, Moritz Helmstaedter*
Department of Connectomics, Max Planck Institute for Brain Research, Frankfurt, Germany. (マックスプランク脳科学研究所)

Science  29 Jan 2021:
Vol. 371, Issue 6528, eabb4534
DOI: 10.1126/science.abb4534

Building circuits, one synapse at a time

As the brain develops, neurons build new connections that are refined by pruning. Gour et al. used electron microscopy to build a high-resolution study of mouse postnatal brain development. The survey reveals the details of how circuits are built to incorporate inhibitory neurons in the somatosensory cortex.

大脳新皮質の脳回路は、様々な種類のニューロンが移動してシナプスを形成することで発達する。本研究では、マウス体性感覚野の抑制性介在ニューロンのシナプス形成回路パターンを定量化した。筆者たちは、神経細胞の細胞体、尖端樹状突起、軸索起始部のシナプス神経支配を生後4週間(生後5-28日齢)に注目して、三次元電子顕微鏡を用いて調べた。その結果、尖端樹状突起の神経支配が早期かつ特異的に起こることがわかった。標的選好性(target preference)は、P5ですでにほぼ成人レベルだった。一方、細胞体を支配する軸索は、P5からP9にかけて徐々に特異性を獲得していくが、これはおそらくシナプスの過剰供給に続いて非特異的なシナプスの除去に由来したものであろう。シャンデリア軸索はP14に最初の標的選好性を示し、P28までにはほぼ完全に標的選好性を獲得している。このコネクトミクスの発達プロファイルは、マウスの大脳皮質における抑制性軸索が、発生時にどのように脳回路を形成しているかを明らかにする。

Denkらがセットアップしたserial block-face EM (シリアルブロックフェイス走査電子顕微鏡法: SBEM)を使用してコネクトミクス解析を行った論文である。

以下は、プリンストン大学計算機科学部およびニューロサイエンス研究所教授であるセバスチャン・スンによるコネクトームの解説。コネクトミクスプロジェクトが目指すものは何か?『脳の全神経細胞のネットワーク地図を作成する―。わたしの心はなぜ他人と違うか、記憶はどう蓄えられるか、心の病はなぜ起こるか―。すべての答えはコネクトームの中にある。脳科学に革命を起こす試みの意義と方法を、第一人者が鮮やかに描き出す。』

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