ゲノム脳科学・病態制御学研究室との共同研究成果が論文になりました

ニューロサイエンス学位プログラム ゲノム脳科学・病態制御学グループ 増田知之准教授との共同研究成果論文「左右心房壁と冠状静脈洞壁とが一体化した外観を呈す左上大静脈遺残」がAnatomical Science International誌に掲載されました。

Case Report Published: 24 January 2021
Anomalous atrium associated with persistent left superior vena cava
Fumihiro Shutoh, Tomoyuki Masuda, Tetsuya Sasaki & Yosuke Takei
Anatomical Science International (2021)

Abstract

Persistent left superior vena cava (PLSVC) is the most common venous anomaly with an incidence of 0.3–0.5% in the general population. Here, we report a rare case of PLSVC with anomalous atrium in a cadaver during the student′s dissection session at the University of Tsukuba. In this case, the coronary sinus had merged with the right atrium to form an enlarged sac-like structure and received systemic venous flow including inflow from the PLSVC. The roof of the coronary sinus with the right atrium was thicker than that of the control cases. We further found that the distance between the sinoatrial node and the opening of the coronary sinus was slightly more than half of that in control cases. This variant appears interesting and is worth reporting for developmental and clinical consideration.

ヒトの左上大静脈遺残は古くより臨床例や研究知見が報告され続けている関心度の高い異型である 。その由来は発生期の心房斜静脈と左腕頭静脈とを連絡する静脈経路の遺残で、静脈血は斜静脈開口部より冠状静脈洞が受ける。ここではこれまでに報告された例とは異なる外見を呈する異型について報告する。その特徴は、外見で左右心房壁、内腔では右心房と完全に一体化した冠状静脈洞に連続して左大静脈が繋がった構造にあり、後方に遷移した一つの心房に左右上大静脈と下大静脈が接続した外観をしている。しかし、内部構造では左大静脈と左心房、左右心房との間は心房壁が隔ており、大心静脈と中心静脈は一体化した右心房と冠状静脈洞に開口している。また、組織学的所見では冠状静脈洞から左上大静脈基部まで、通常の同部位よりも厚い心筋層を有しており、機能的に心房とほぼ完全に一体化して働いていたものと推測される。この異型では多い冠状静脈洞の血流により循環機能障害が起こりやすいが、本件では循環器系の病歴はない。従って、本件では比較的厚い心筋層をもつ冠状静脈洞と右心房とが一体化して十分な心房容積と収縮機能が確保されていたと考えられる。ここに示した異型に関する報告は、今後同様な心臓の異型に対する臨床診断の予備的知見としてだけでなく、左大静脈遺残という主要な異型の形成過程についての研究に寄与するものと考えられる。

標本の管理には、筑波大学技術員の矢部一徳様、瀬谷祐一様にお世話になりました。この場をお借りして感謝いたします。

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