ジョナス・ソーク ― ポリオを克服した医師・科学者
ジョナス・エドワード・ソークは、アメリカ・ニューヨーク生まれの医学者・ウイルス学者で、世界初の不活化ポリオワクチン(IPV)を開発した人物です。1914年10月28日にユダヤ系移民の家庭に生まれ、City College of New Yorkおよびニューヨーク大学医学部で学びました。学生時代からウイルス研究に関心を持ち、第二次世界大戦後にはインフルエンザウイルスの研究を経て、ポリオウイルスのワクチン開発に取り組みました。
1950年代、ポリオは世界的流行病であり、子どもたちに麻痺や死亡をもたらしていました。ソークはホルマリンでウイルスを不活化することで感染性を失わせつつ、免疫反応を誘導できるワクチンを作り出しました。1955年、全米規模の臨床試験の結果が発表され、「安全で、有効で、強力である」と評価されると、アメリカ中に希望と歓喜が広がりました。彼のワクチンによってポリオの発症率は劇的に減少し、のちに世界的根絶運動の基盤となりました。
ソークはこのワクチンに特許を取らなかったことで知られています。
「太陽に特許を取ることができますか?(Could you patent the sun?)」という名言は、科学を人類共有の財産とする彼の信念を象徴しています。
1963年にはカリフォルニア州ラ・ホーヤにソーク研究所(Salk Institute for Biological Studies)を設立しました。建築家ルイス・カーンと協働して設計されたこの施設は、科学と自然の調和を体現する象徴的建築として知られています。現在も神経科学や分子生物学の世界的研究拠点となっています。
晩年のソークは免疫・老化・がんなど幅広い分野に関心を広げ、人間存在と科学の倫理を問い続けました。1995年6月23日に80歳で亡くなりましたが、彼の精神と業績は今なお公衆衛生・ワクチン倫理・科学教育の分野で生き続けています。
“Hope lies in dreams, in imagination, and in the courage of those who dare to make dreams into reality.”
「希望は夢の中に、想像力の中に、そして夢を現実にしようとする勇気の中にあります。」
臨床実習が始まったM4の学生の方はお忙しいようです。M5の学生の方は、淡々と実験と解析に取り組んでくださっています。11月には学会発表が控えているので、発表の準備を余裕をもって行いたいものです。M1~M3の才能もぜひ研究室に来ていただきたいです。ご連絡をお待ちしています!






*ポリオ(急性灰白髄炎)は脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、ポリオウイルスによって発生する疾病です。子ども(特に5歳以下)がかかることが多く、麻痺などを起こすことのある病気です。主に感染した人の便を介してうつり、手足の筋肉や呼吸する筋肉等に作用して麻痺を生じることがあります。永続的な後遺症を残すことがあり、特に成人では亡くなる確率も高いものとなっています。