星の名を継ぐ者たち―免疫と多孔の詩

2025年は日本人のノーベル賞受賞がこれまで2件ありました。10月6日(日本時間)発表の生理学・医学賞では、大阪大学特任教授の坂口志文氏が、Mary E. Brunkow 氏、Fred Ramsdell 氏とともに「末梢免疫寛容」に関する発見で受賞。自己を攻撃しないよう免疫を抑える制御性T細胞(Treg)の同定など、免疫治療や自己免疫疾患研究の基盤を築いた功績が評価されました。続いて10月8日発表の化学賞では、京都大学の北川進教授が、Richard Robson 氏、Omar M. Yaghi 氏とともに金属有機構造体(MOF)の創製・発展で受賞。MOFは超多孔質の「分子の建築」で、CO₂回収、水の回収、毒性ガスの貯蔵、触媒などに応用が広がっています。それぞれの受賞は、日本の免疫学と材料化学が世界の医療・環境課題解決に直結する知の基盤を提供してきたことを強く示すもので、臨床応用やクリーン技術の実装加速が期待されます。

本日も早朝より学生が研究室に集い、実験を頑張ってくれました。複雑を解き、世界を軽くする知の力を、私たちの研究室でも学生が日々示しています。地味な実験の連なりが、やがて誰かの痛みを和らげ、地球の負担を減らす希望になります。誠実な手と澄んだ眼差しに敬意を。次の発見は、ここから始まります。失敗を記録し、仮説を磨き、仲間と語る一歩一歩が、未来のスタンダードを形づくります。その歩みを誇りに、胸を張って進みましょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください