デイヴィッド・ボルティモア(David Baltimore, 1938–2025)は、20世紀後半から21世紀初頭にかけて分子生物学と免疫学を根底から変革した研究者です。1938年にニューヨークに生まれ、マサチューセッツ工科大学やロックフェラー大学を経て、カリフォルニア工科大学学長などを務めました。彼の最大の業績は、1970年にRNA腫瘍ウイルスの研究から逆転写酵素を発見し、RNAからDNAへの情報逆転写の仕組みを明らかにしたことであり、この発見はウイルス学や発がん研究の理解を一変させ、のちのHIV研究やRT-PCRなど分子生物学技術の基盤となりました。この功績により1975年にハワード・テミンらとともにノーベル生理学・医学賞を受賞しています。また、ウイルスをゲノム型と複製様式に基づいて七群に分類する「ボルティモア分類」を提唱し、現在もウイルス学の標準的な枠組みとして広く用いられています。さらに免疫学分野では、炎症応答や免疫シグナル伝達に関わる転写因子NF-κBの研究を先導し、免疫系の分子基盤解明に大きく寄与しました。晩年に至るまで免疫系の発達と機能、ウイルスベクターを用いた遺伝子治療、がん生物学などに関する研究を続けるとともに、多数の学生や若手研究者を育成し、研究倫理や科学政策にも積極的に関わりました。逆転写酵素の発見からウイルス分類体系、免疫シグナルの理解に至るまで、彼の業績は基礎研究と臨床応用を結びつけ、現代医学に多大な影響を与えます。2025年9月に87歳で逝去しましたが、その遺した知的遺産と教育者としての姿勢は、今も生命科学と医学の発展に深く息づいています。
MIT の教授として多数の若手研究者を育成。カリフォルニア工科大学(Caltech)学長(1997–2006) を務め、研究教育体制の強化を推進しました。科学政策・研究倫理にも積極的に関与し、米国科学界に大きな影響を与えました。1975年 ノーベル生理学・医学賞(逆転写酵素の発見)米国国家科学賞(US National Medal of Science)ラスカー賞、ガードナー国際賞 など多数受賞。米国科学アカデミー会員

https://news.mit.edu/2025/remembering-david-baltimore-0908
連休中も、臨床実習中の医療科学類学生と医学類学生がコツコツと実験を進めてくれました。〇〇導入は成功したようなので、次のステップに進みましょう!若い才能ある学生と一緒に実験できるのは喜ばしいことです。


