エルヴィン・シュレーディンガー(Erwin Schrödinger, 1887年8月12日 – 1961年1月4日)は、20世紀を代表するオーストリア出身の理論物理学者で、量子力学の発展に決定的な役割を果たした人物です。特にシュレーディンガー方程式と呼ばれる波動方程式を提案し、電子などの微視的粒子の振る舞いを記述する枠組みを確立しました。1933年 ノーベル物理学賞(ポール・ディラックと共同)を受賞しました。受賞理由は、原子理論における新しい有効な形式(波動力学)の発展です。
シュレーディンガーの著書 『生命とは何か(What is Life?)』 は、1944年にケンブリッジ大学で行った公開講義をもとにまとめられた科学随筆で、物理学者の視点から生命現象の根本原理を探ろうとした画期的な書です。分子生物学の誕生に大きな影響を与え、DNA構造発見の背景にも関わったことで有名です。当時、生物学は分子レベルで生命を理解する段階には至っていませんでしたが、シュレーディンガーは熱力学や統計力学を用いてその物理的基盤を説明しようと試みました。彼は遺伝情報の担い手を「非周期性結晶」と呼び、周期的な原子配列を持つ通常の結晶とは異なり、多様な情報を保持できる分子構造であると予想しました。この発想は後にDNAの塩基配列や二重らせん構造の発見に直接的な影響を与えました。また、生物が秩序(低エントロピー)を維持できる理由として「負のエントロピー(ネゲントロピー)」の概念を導入し、生物は環境から秩序を取り込み代謝を通じて局所的な秩序を保つと説明しました。さらに生命分子の安定性や機能には量子力学が不可欠であるとし、生命現象を量子論的枠組みに位置づけました。終章では、こうした物理的説明が生命や意識の意味を否定するものではないことを強調し、東洋思想や統一的世界観にも触れています。本書はDNA研究を含む分子生物学の発展に大きな影響を与えました。
本日は、医学類の学生が遺伝子導入実験を行いました。大学院生がグリアの培養実験に取り組みました。実験がうまくいくといいですね!
