7月22日は、近代外科学と解剖学、実験医学の父と称されるスコットランド出身の外科医John Hunterの誕生日です。
ジョン・ハンター(John Hunter, 1728年7月22日 – 1793年10月16日)は、近代外科学と解剖学、実験医学の父と称されるスコットランド出身の外科医です。18世紀の医学において、観察と実験を重視した科学的手法を導入し、従来の経験則に頼った医療から実証に基づく医療への転換を先導した人物です。彼は兄ウィリアム・ハンターのもとで解剖を学び、生涯で1万点以上の人体・動物標本を収集し、比較解剖学を体系化しました。この標本群は現在ロンドンのハンター博物館に収蔵されており、現代に至るまで医学教育に貢献しています。外科手術の科学的根拠を明確にし、動脈瘤の治療における近位部の結紮(ハンター式結紮法)などの技術を確立し、感染や外傷の管理にも革新をもたらしました。また、梅毒と淋病が同一疾患かどうかを確かめるために自らの身体で感染実験を行うという大胆な試みにも取り組みましたが、これは後に倫理的な問題を含むものとして議論の対象にもなっています。彼の名を冠した解剖学構造としては、Hunter’s canal(ハンター管)が知られており、大腿部の内側を走行する神経・血管の通路で、大腿動脈や大腿静脈、伏在神経などが通過する臨床的に重要な構造です。ハンターはその実験精神を象徴する「Why think? Why not try the experiment?(考えるより、まず実験せよ)」という言葉でも知られ、後の医学者や科学者に多大な影響を与えました。彼の遺産は医学の基礎に深く刻まれており、解剖・観察・実証の重要性を今日の医学に伝える原点として、今も高く評価されています。彼の誕生日である7月22日は、近代医学史における重要な節目として記憶されています。
ジョン・ハンター(John Hunter, 1728–1793)の概要
・スコットランド生まれの外科医・解剖学者・実験医学者で、「近代外科の父」と称される。
・生涯にわたって13,000点以上の解剖標本を収集し、比較解剖学・外科手術・病理学に革新をもたらした。
・解剖学の教育・研究を重視し、種を超えた生物比較による体系的理解を提唱。
・梅毒と淋病の関係を調べるため自ら感染するという自己実験も行った(倫理的議論の対象にもなった)。
死後、彼の標本はハンター博物館(Hunterian Museum, London)に収蔵され、現在も医学教育に活用されている。
主な業績と影響
比較解剖学と実験医学の確立 外科学の科学化と職業的地位向上 外科教育への貢献(多数の弟子を育成、ジェンナーなど) 標本コレクションによる記録と教育の体系化
「解剖学から始まる革新」を皆さんも自らの力で具現化してみませんか?私たちの研究室では、一緒に研究してくださる学生・研究員を募集しています!

Arthur F. Dalley II・ Anne M. R. Agur
