X線が照らした命の設計図

ロザリンド・フランクリン(1920年7月25日生まれ)は、DNAの二重らせん構造の解明に大きく貢献したイギリスの化学者であり、X線結晶学の専門家です。彼女はキングス・カレッジ・ロンドンでDNAの構造解析に取り組み、X線回折を用いてDNAの構造を高精度に可視化しました。1952年に撮影された「写真51」は、B型DNAの二重らせん構造を示す極めて鮮明な回折像であり、DNAが2本鎖のらせん構造を持つことや、らせんの寸法に関する重要な情報を含んでいました。この写真は、後にワトソンとクリックが二重らせんモデルを構築する際の決定的な手がかりとなりました。フランクリン自身も独自の構造モデルを進めていましたが、その貢献は当時十分に評価されませんでした。1962年のノーベル賞は、彼女の死後に他の研究者に授与されました。現在では、その業績が再評価され、女性科学者の先駆者として広く称賛されています。

DNAと解剖学は、一見すると異なる分野に見えますが、生命の構造と機能を理解するうえで密接に関わっています。DNAは遺伝情報を担う分子であり、体の形態や機能を決定するたんぱく質の設計図を含んでいます。解剖学が観察する骨格や内臓、神経といった構造の多くは、DNAに書き込まれた情報に基づいて発生・形成されます。たとえば、手足の形成にはHox遺伝子の制御が関与し、その異常は先天奇形につながります。また、筋肉の構造や神経の分布にも遺伝子が関与しており、遺伝子異常による解剖学的異常は臨床医学でも重要な知見となっています。このように、DNAの情報は細胞レベルから器官レベルまでの構造形成に影響を与えており、解剖学的理解の背景には分子レベルの知識が不可欠です。現代の解剖学は、DNAの機能を理解することで、より深いレベルで人体の構造とその多様性を探る学問へと進化しています。

本日は、日本神経科学大会第2日目です。学生たちには、研究の最先端に触れ、できるだけ多くのものを得て帰ってきてほしいものです。

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