1789年7月14日のバスティーユ襲撃は、フランス革命の象徴的な始まりとして世界史に刻まれた出来事です。当時のフランスは深刻な財政難と食糧不足に見舞われ、庶民の生活は困窮を極めていました。これに加え、税制の不公平や王政による専制的な政治が、民衆の怒りを一層募らせていました。第三身分(平民)を中心とする国民は、国王ルイ16世の強権的な姿勢に抗議し、自由と平等を求めて立ち上がりました。そんな中、王が軍をパリに集結させたことが、民衆に対する武力弾圧の前触れと受け取られ、市民の間に不安と緊張が広がりました。7月14日、パリ市民は武器と火薬を求めて王政の象徴であるバスティーユ牢獄を襲撃し、激しい戦闘の末にこれを陥落させました。実際には数人の囚人しか収容されていなかったものの、この襲撃は単なる武力行使ではなく、専制に対する民衆の決起を象徴する重大な出来事となりました。この事件により国王の権威は大きく揺らぎ、やがてフランス社会は共和制へと大きく舵を切っていくことになります。現在でもこの日は「革命記念日」として祝われ、自由と人民主権の精神を象徴する重要な日となっています。日本では、参議院議員通常選挙の日が近いです。ぜひ私たち一人一人の考えを示しましょう。
本日は、フランス革命記念日ですが、ラボセミナーで医療科学類3年生が研究進捗報告(研究室配属後初めて)を、医学類M5の学生が論文紹介を行いました。若い方たちの”革命的な”成長に期待したいものです。先週末は医学類の編入学試験がありました。関係者の皆様お疲れ様でした。M2解剖学で編入学された学生の方と話すと、落ち着きと深遠な知識を感じることができ、とても嬉しく思います。
Immunity, 2025年8月12日
Excitatory-neuron-derived interleukin-34 supports cortical developmental microglia function (興奮性ニューロン由来のインターロイキン-34は皮質発達期のミクログリア機能を支える)
Benjamin A. Devlin, Staci D. Bilbo
Department of Psychology and Neuroscience, Duke University, Durham, NC, USA
Abstract
Neuron-microglia interactions dictate the development of neuronal circuits in the brain. However, the factors that regulate these processes across development are largely unknown. Here, we found that interleukin-34 (IL-34), a neuron-derived cytokine, was upregulated in early development and maintained neuroprotective, mature microglia in the anterior cingulate cortex (ACC) of mice. IL-34 expression increases in the second week of post-natal life and was primarily produced by excitatory neurons. Excitatory-neuron-specific deletion of IL-34 reduced microglia numbers and microglial TMEM119 expression and increased aberrant microglial phagocytosis of excitatory thalamocortical synapses in the ACC. Acute, low-dose blocking of IL-34 at post-natal day 15 similarly decreased microglial TMEM119 and aberrantly increased microglial phagocytosis of synapses. Viral overexpression of IL-34 induced TMEM119 expression and prevented appropriate microglial phagocytosis of synapses. These findings establish IL-34 as a key regulator of neuron-microglia crosstalk in post-natal brain development, controlling both microglial maturation and synapse engulfment.
神経細胞とミクログリアの相互作用は、脳内の神経回路の発達を決定します。しかし、これらのプロセスを発達過程全体で調節する要因はほとんど不明です。本研究では、神経細胞由来のサイトカインであるインターロイキン-34(IL-34)が、マウス前帯状皮質(ACC)において早期発達段階で発現が上昇し、神経保護作用を有する成熟したミクログリアを維持することが明らかになりました。IL-34の発現は生後2週目に増加し、主に興奮性神経細胞によって産生されていました。興奮性神経細胞特異的なIL-34の欠損は、ACCにおけるミクログリアの数とミクログリアのTMEM119発現を減少させ、興奮性視床皮質シナプスにおける異常なミクログリアの貪食作用を増加させました。生後15日目の急性低用量IL-34阻害は、同様にミクログリアのTMEM119発現を減少させ、シナプスに対する異常なミクログリアの貪食作用を増加させました。ウイルスによるIL-34の過剰発現はTMEM119の発現を誘導し、シナプスに対する適切なミクログリアの貪食作用を阻害しました。これらの結果は、IL-34が新生児期脳の発達において神経細胞とミクログリアの相互作用の鍵となる調節因子であり、ミクログリアの成熟とシナプスの貪食作用の両方を制御することを示しています。
Keywords: CSF-1R; Il-34; TMEM119; behavior; development; microglia; neuroimmune; phagocytosis; synapse.

Background
ミクログリアは脳発達において多機能であり、血管新生、神経新生、ミエリン形成、組織修復、シナプスのリモデリングなどを担う。その機能的成熟は、ニューロンなど周囲の細胞からの分子シグナルによって誘導される。ミクログリアの維持に重要なCSF-1受容体には、CSF-1とIL-34の2つのリガンドがある。前者は広範囲に、後者は主に皮膚と前脳に限定されて発現する。IL-34の脳内での役割は不明点が多かった。
Methods
- 動物モデル:C57BL6/Jマウス、IL-34欠損(LacZ)マウス、VGlut2-Cre::IL-34 flox/floxマウス
- 遺伝子・タンパク質解析:qPCR、ELISA、RNA-FISH、免疫染色(TMEM119, Iba1, CD68など)
- ウイルス操作:AAVベクターによるIL-34の過剰発現
- 抗体注射:P15に脳室内へIL-34またはCSF-1中和抗体を注入
- 行動解析:超音波発声、エレベーテッド・プラス・メイズ、Barnes迷路など
Results
- IL-34発現の発達制御:IL-34はP7からP14の間にACCなどで急激に上昇し、CBM(小脳)では上昇しなかった。
- 細胞特異性:IL-34はGABA作動性(Gad2+)ニューロンよりもグルタミン酸作動性(VGlut1+)ニューロンで約2倍多く発現した。
- IL-34欠失マウス:
- ミクログリア数とTMEM119が減少
- CD68が増加(リソソーム増加=貪食活性上昇)
- VGlut2+シナプスの過剰貪食
- P15での急性IL-34遮断:
- ミクログリア数は大きく減少しないが、CD68 Hi / TMEM119 Lo な未成熟で貪食型の表現型が出現
- マイクログリアのトランスクリプトームはインターフェロン反応性の炎症型にシフト
- ACCと海馬の両方でVGlut2+シナプスの貪食が亢進
- IL-34過剰発現:
- TMEM119上昇、CD68とVGlut2貪食量の減少、VGlut2+/PSD95+シナプス数の増加
- ミクログリアのラミフィケーションも増加
Discussion
IL-34は発達期皮質ミクログリアの成熟と機能的アイデンティティ確立に必要不可欠であり、特に「過剰なシナプス貪食を抑制するブレーキ役」として機能する。IL-34の欠如は、成熟シナプスへの不適切な貪食を招き、神経回路形成に悪影響を及ぼす。CSF-1とIL-34は同じ受容体に結合するが、異なる細胞機能を誘導することが示唆された。
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