1955年7月9日、バートランド・ラッセルとアルベルト・アインシュタインを中心とした11名の科学者によって、「ラッセル=アインシュタイン宣言」が発表されました。この宣言は、第二次世界大戦後に急速に進んだ核兵器の拡散と、冷戦による国際的な緊張の高まりを背景に、科学者が人類に対して果たすべき責任について深く問いかけたものです。原爆の開発に関わったアインシュタインは、その後悔と反省を胸に、科学の進歩が人類の破滅をもたらしかねないという現実を真剣に受け止めていました。宣言の中で彼らは、「われわれは人類である。われわれには人類として生き延びる義務がある」と訴え、核戦争が起これば、人類の存続そのものが脅かされると警告しました。これは単なる政治的メッセージではなく、科学者としての倫理的責任に根ざした、静かで力強い呼びかけでした。この宣言をきっかけとして、翌年には第1回パグウォッシュ会議が開催され、冷戦下でも国を超えて科学者同士が対話と協力を進める場が生まれました。この運動はやがて、1985年にノーベル平和賞を受賞するまでに広がっていきました。ラッセル=アインシュタイン宣言は、今もなお、科学の力とそれに伴う責任について考えるうえで、大きな示唆を与えてくれる歴史的な出来事です。
本日も暑い中、医学類や医療科学類の学生が頑張って実験してくれました。若い人たちに負けないように精進したいものです。



