臨床精神薬理誌に総説が掲載されました

医学類の学生を筆頭著者とする下記の総説が、臨床精神薬理誌第28巻4号に掲載されました。

Sanaka S, Sasaki T*. Pharmacological Treatment of Autism Spectrum Disorder: Evidence and Clinical Decision-Making in Practice. Japanese Journal of Clinical Psychopharmacology. 2025-04. 28(4): 99-106. 

左中彩恵1,2, 佐々木哲也*. 自閉スペクトラム症の薬物療法:エビデンスと臨床判断の実際.

  1. 医学群 医学類
  2. 医学医療系 生命医科学域 解剖学・神経科学研究室

自閉スペクトラム症(ASD)の診断において、知的障害を伴わないケースでは、高い知的能力による代償的な適応により、表面的には定型発達との区別が困難となることがある。また、発達段階による症状表現の変化や、成人期における長年の代償的適応により、基本的な特性が把握しにくい場合も多い。特に女性では、社会性の模倣や対人関係における代償的な方略の獲得により、典型的なASD特性が見えにくい傾向がある。さらに、不安障害や気分障害などの併存症が前景に立つ場合、基礎にあるASD特性の評価が困難となる。診断には複数の場面での行動観察と詳細な発達歴の聴取を丁寧に行うことが求められる。また、発達段階や性差による症状表現の違い、併存症の影響を考慮した包括的な評価が不可欠である。特に、代償的な適応を示す高機能例では、環境変化によって顕在化する困難さにも注目する必要がある。これらの多面的な評価により、より適切な診断と支援につながることが期待される。

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