2025年2月中旬に、生命環境学群生物学類の卒業研究発表会が開催されます発表会までもう少しです。最後まで頑張りましょう!今年度は、人間生物コースのHさんとKさんが研究発表を行います。
筑波大学生物学類の卒業研究発表会では、生態学、分子生物学、行動学、遺伝学、微生物学など多岐にわたる分野の研究が発表されます。本発表会は、各研究室での1年間の研究成果をまとめたものであり、学生たちが研究の意義や方法、結果、考察を共有する場となることでしょう。
生態学・行動学の研究では、花粉媒介者であるハチの行動や植物の適応戦略が取り上げられます。例えば、マルハナバチの花選びにおける学習効果や、ハダニの雄が繁殖戦術と捕食回避行動をどのようにバランスさせるかが議論される予定です。また、管住性ハチ類の営巣環境を評価するための「Bee hotel」を用いた研究では、土地利用の違いがハチの多様性にどのような影響を与えるかが明らかになると考えられます。
遺伝学・発生学の分野では、昆虫や海洋生物を対象にした研究が多く発表される見込みです。寄生蜂の毒がショウジョウバエ幼虫に及ぼす影響の解析や、ウニ幼生におけるWnt7遺伝子の機能解析が発表される予定です。さらに、発生メカニズムに関する研究として、ヒドロ虫上に生息する未記載種の扁形動物の分類学的解析も発表される予定です。
分子生物学・生理学の研究では、植物や動物のストレス応答機構に焦点を当てた研究が多く見られると予想されます。例えば、ポプラの塩ストレス応答に影響を与えるRNAシャペロンの解析や、シロイヌナズナのガラクチノール合成酵素の異所的発現が気孔調節に及ぼす影響について報告される予定です。また、睡眠制御に関連する遺伝子の解析として、ヒストンメチル化が睡眠要求に及ぼす影響や、REM睡眠剥奪が恐怖記憶形成に果たす役割が検討されるでしょう。
微生物学・腸内細菌に関する研究では、腸内細菌と宿主の相互作用に関する興味深い発表が行われる見込みです。オカダンゴムシの腸内細菌が産生する抗カビ物質の特性や、腸内細菌 Ruminococcus gnavus の宿主の食餌依存的な定着メカニズムが解析される予定です。また、特定の腸内細菌がどのようにセサミンを代謝するのかを調べる研究も発表されると考えられます。
計算科学・バイオインフォマティクスの分野では、分子シミュレーションを用いた味覚受容体の認識メカニズムの解明や、核輸送受容体の熱依存的な結合メカニズムの解析が行われる予定です。また、細胞類似性を検索するためのWebアプリケーション「Cell similarity search」の開発も報告され、実験データ解析の新たなツールとして注目を集めるでしょう。
本発表会では、多様な生物学的課題に対する創造的なアプローチが示され、環境要因や遺伝的要因が生物の生理や行動にどのような影響を及ぼすのかを探求する研究が多く発表される見込みです。これらの発表を聞くことができるのを楽しみにしています。
卒業研究を通じて学生が得ることができる技術は多岐にわたります。
コミュニケーション能力: 研究結果を論文やプレゼンテーションとしてまとめることで、学生は自らの考えを精確かつ明確に技術を向上させます。指導教員や他の研究者、学生同士のコミュニケーションも重要です。
問題解決能力: 卒業研究では、答えがない(AIも知らない)未知の問題に対処し、解決策を見出す能力が求められます。研究の進行中に起きる課題や困難を克服することで問題解決力を高めます。
これらの能力は、卒業後のキャリアや学術研究において非常に重要です。私たちの研究室で、上記の技術のトレーニングを行いませんか?研究室見学は、随時対応しています。興味がある方は、武井まで問い合わせください。
