エピファニーと東方の三博士の来訪

エピファニー(公現祭)は、キリスト教において1月6日に祝われる祭日で、ギリシャ語で「現れ」を意味する「ἐπιφάνεια(エピファネイア)」に由来しています。これはイエス・キリストがすべての人に救い主として示された出来事を記念するものであり、西方教会(カトリックや多くのプロテスタント)では東方の三博士(マギ)の来訪、東方正教会ではイエスの洗礼を主題として祝われるものです。新約聖書『マタイによる福音書』に記される三博士の礼拝は、星に導かれて幼子イエスのもとを訪れた異邦人の博士たちが、王の象徴である黄金、神としての礼拝を示す乳香、そして死と復活を暗示する没薬を捧げた物語なのです。イエスがユダヤ人だけでなくすべての人の救い主として現れたことを示すこのエピソードは、西方教会が1月6日に祝うエピファニーの中心的な場面となり、多くの地域でクリスマス・シーズンの締めくくりとして伝統菓子を分け合う風習を生んできたとのことです。フランスではパイ生地にアーモンドクリームを詰めたガレット・デ・ロワにフェーヴ(小さな人形など)を忍ばせ、当たった人が一年の幸運を願うのが通例であり、スペインや中南米のロスカ・デ・レジェス、アメリカ南部のキングケーキなど、同様の習慣が各地域で受け継がれています。こうした文化的行事の根底には、全人類の救いを告げるイエスの公現と、それを象徴する異邦人の博士たちの礼拝が深く結びついているのです。

東方の三博士(マギ)の来訪は、新約聖書『マタイによる福音書』2章1節から12節に語られる物語であり、キリスト教における象徴的なエピソードの一つとなっているのです。原文のギリシャ語で「μάγοι(マゴイ)」と呼ばれる彼らは“占星術の学者”あるいは“賢者”と訳され、聖書本文には人数の明記がないものの、黄金・乳香・没薬という三つの贈り物が記されていることから、伝統的に三人の博士として描かれています。中世以降の西方教会の伝承では、彼らは「メルキオール」「カスパール」「バルタザール」という名を与えられ、異なる年齢や人種を象徴する姿で表現されるようになったのです。これはイエスがユダヤ人だけではなく全人類の救い主であるという普遍性を強調するものであり、旧約聖書イザヤ書60章3節の「国々はあなたの光の内に歩み、王たちはあなたの輝きに照らされて進むであろう」という預言とも結びついて、彼らを“王”として扱う表現が中世以降に定着していったとされています。

クリスマス・シーズンが終わり、私たちの大学院組織では、もうすぐ博士論文審査会シーズンです。新たな「博士」の誕生に巡り合えること、楽しみです!

修士課程に入学したころから知っている学生の皆さんが大きく成長した姿を見たいものです。

https://x.com/ambafrancejp_jp
galette des rois- epiphany cake with ingredient

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