精神疾患-免疫-環境軸の総説が発行されます

医学類3年のHさんを筆頭著者とする総説が、臨床免疫・アレルギー科 (科学評論社)に掲載されます。

樋口浩輝, 神谷沙羅, 久保明澄, 中村 賢佑, 左中 彩恵, 佐々木哲也. 免疫-神経-環境軸から見る自閉スペクトラム症・アレルギー・乾癬: 異なる疾患群に潜む共通病態メカニズムの探求. 臨床免疫・アレルギー科. Vol. 82 No. 6. 2024-12. in press.

Abstract

乾癬、自閉スペクトラム症(ASD)、アレルギー性疾患の間の関連性について、免疫系の機能異常を中心に考察がなされている。これらの疾患は一見無関係に見えるが、共通の病態メカニズムが存在する可能性が示唆されている。特に注目されているのは、IL-17Aやホモシステインなどの血清バイオマーカーの異常である。ASD患者では、これらのマーカーの上昇が報告されており、症状の重症度とも相関している。また、葉酸やビタミンB12の低下も観察されており、これらの栄養素の代謝異常がASDの発症に関与している可能性がある。免疫系の異常、特に神経炎症の存在は、これらの疾患に共通して見られる特徴である。ミクログリアの活性化や、炎症性サイトカインの産生増加が、神経発達や行動に影響を与える可能性が指摘されている。さらに、腸内細菌叢は免疫系や神経系の発達に重要な役割を果たしており、その乱れが様々な症状につながる可能性がある。乾癬、ASD、アレルギー性疾患の複雑な関連性を包括的に検討し、共通の病態メカニズムの解明が新たな治療法の開発につながる可能性を考察する。

Keywords

Autism Spectrum Disorder, Psoriasis, Allergic Diseases, Neuroinflammation, IL-17A, Homocysteine, Gut Microbiota, Microglia

臨床免疫・アレルギー科 次号:第82巻 第6号 (発売日2024年12月25日)
科学評論社
特集 I.「自己」と「非自己」の認識と免疫応答-自然免疫編-
特集 II.「自己」と「非自己」の認識と免疫応答-獲得免疫編-

子曰、知之者不如好之者、好之者不如樂之者 「論語」

子曰わく、これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。

はじめは興味のない研究でも、その研究の知識が増えることで、その研究が徐々に好きになり、好きになってくればその研究をすることが楽しくなる。

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