神在月と霜月に見る季節の祈りと研究

神在月(旧暦10月)は、日本神話に基づく特別な月であり、全国の八百万の神々が出雲大社に集まるとされています。このため、出雲以外の地域では「神無月」と呼ばれるのに対し、出雲地方では「神在月」として知られています。この時期、出雲大社では「神迎祭」や「神在祭」などの重要な神事が執り行われます。特に「神迎祭」では、稲佐の浜で神々を迎える荘厳な儀式が行われ、続く「神在祭」では神々の滞在中にさまざまな祈りが捧げられます。この月は縁結びの神事が特に重視され、出雲を訪れる参拝者も増える時期です。また、島根県内の各地でも、神迎えや神送りの神事が地域独自の形で行われ、出雲信仰が深く息づいていることを感じさせます。

一方、霜月(旧暦11月)は霜が降り始め、冬の訪れを感じさせる季節です。この月には、秋の収穫が終わり、神々への感謝を捧げる行事が盛んに行われます。代表的なものに、新嘗祭があります。これは、天皇が五穀の収穫に感謝する祭祀で、全国の神社でも似たような収穫感謝の行事が行われます。現在、新暦の11月23日に行われる「勤労感謝の日」は、この新嘗祭に由来しています。また、長野県などでは霜月祭が有名で、冬を迎える神事として、神楽や湯立て神事が特徴的です。この時期は、収穫感謝の行事や家庭での感謝の祈りも多く、農村地域を中心にさまざまな形で自然の恵みへの感謝が表現されます。さらに、七五三もこの季節に行われる行事であり、子どもの成長を祝う家族の祈りが神社に捧げられる時期でもあります。

神在月が神々との直接的なつながりを意識する月であるのに対し、霜月は収穫の恵みに感謝し、冬を迎える準備を進める季節です。どちらの月も、自然や神々と人々の関係を深め、季節の移り変わりに感謝と祈りを捧げる大切な時期として、長い歴史の中で育まれてきました。研究も神無月から霜月を経て、師走に向けて2024年の成果を刈り取りたいものです。

本学では、先日推薦入試が実施されました。関係者の皆様に感謝します。推薦休みで出かけている学生の方も多いようです。パワーアップして研究室に戻ってくることを楽しみにしています。

出雲大社HPより。

吹雪やわづかの仕事のひまで 泣きながら からだに刻んで行く勉強が

まもなくぐんぐん強い芽を噴いて どこまでのびるかわからない

それがこれからのあたらしい学問のはじまりなんだ

〔あすこの田はねえ〕   一九二七、七、一〇、 宮沢賢治『春と修羅 第三集』

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