ニューロサイエンス学位プログラムの神経科学先端セミナー第9回講義が下記の通り開催されます。
日時:令和6年12月2日(月) 4限(13:45〜15:00)
場所:総合研究棟D 公開講義室(D116室)にて対面講義
講師:森川 桃(もりかわ もも)先生(筑波大学)
講義タイトル:脳高次機能におけるキネシン分子モーターの寄与
キーワード:キネシン分子モーター、KIF21B、KIF3B、遺伝子改変マウス、恐怖記憶消去、PTSD、長期抑圧(LTD)、統合失調症、スパイン受容体
履修者以外でご興味のある方の参加も歓迎いたします。是非ご参加ください。
キネシンスーパーファミリータンパク質(KIFs)は細胞内で物質輸送を担う分子群のひとつで、細胞の⽣存や形態形成および機能発現に重要な役割を果たしている。本講義では、KIFsが脳高次脳機能や精神疾患に関与していることを、マウス行動解析、電気生理学、免疫組織・細胞化学、超解像レーザー顕微鏡/電子顕微鏡観察、免疫沈降法、酵母ツーハイブリッド分析といった様々な手法を駆使して明らかにした結果を示す。例えば、KIFsのひとつKIF21Bのノックアウトマウスは長期抑圧(LTD)の欠損により恐怖記憶を消去することのできないPTSD様の症状を呈した。またKIF3Bのヘテロ欠損マウスはスパイン受容体の輸送能低下により統合失調症様の表現型を示すことを発見した。神経可塑性における重要な未解決問題であったLTDの分子メカニズムやスパイン受容体の輸送メカニズムの解明は、難治性の脳高次機能疾患の新たな治療法開発の基盤となるものである。



https://m-hub.jp/research-general/5047/338-1
