再掲) 灯りなき研究室で

全学停電で、普段何気なく使っている電気のありがたみを、身をもって感じました。10月26日、27日の両日、朝8時から夕方5時まで停電となり、研究室での作業ができない状況に。そこで、私たちの研究活動がどれだけ電気に支えられているのか、つくづく考えさせられました。

研究室で使う実験機器やパソコンはもちろん、照明やエアコン、建物の電子錠まで、日頃はスイッチを入れれば動くのが当たり前だと思っていた設備の全てが、電気があってこそ動いているんだなあと実感します。特に気を使ったのが、温度管理が必要な実験機器や冷蔵・冷凍設備です。施設サービス課の方々が、仮設電源の設置やドライアイスの準備など、本当に細かいところまで気を配って対応してくださいました。

資料を見ると、昨年度は24XY台もの機器に仮設電源が必要で、消費電力は2590kWにもなったそうです。これだけたくさんの機器に電気を届けるのは、とても大変な作業だったはず。世界的に燃料価格が上がっている中、約2X00万円もの費用をかけて仮設電源を用意していただいたことに、本当に頭が下がる思いです。施設サービス課、医学医療エリア支援室など、たくさんの方々が私たちのために動いてくださいました。事前の説明会を開いてくださったり、申請書類をまとめてくださったり、緊急連絡の体制を整えてくださったり。法律で決められた点検とはいえ、これだけ大がかりな停電作業を無事に終えるのは、本当に大変なことだったと思います。

本日は、終日薄暗い天気でした。灯りのない室内で書籍を読んでいると機材のノイズの少なさとともに、秋の虫の鳴き声が思いのほか大きく聞こえました。窓から入る風は時に冷気を含んで、心の罅を撫でていきます。また陽光の如き才能が研究室に来てくださるのを楽しみにしています。

2024年10月26日掲載

月をかすめる鳥の影
  電信ばしらのオルゴール
  泥岩を噛む水瓦斯と
  一列黒いみをつくし
   ……てのひらの血は
     ぽけっとのなかで凍りながら
     たぶんぼんやり燐光をだす……

春と修羅 (宮沢賢治) 

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