札幌で開催された第12回日本DoHAD学会に参加しました。生物学類人間生物コースの学生が口頭発表を行いました。運営の先生方のご尽力に感謝申し上げます。
- Asumi Kubo*, Sara Kamiya*, Kenyu Nakamura, Koki Higuchi, Yosuke Takei, Tetsuya Sasaki. Dynamics of IL-17RA mRNA expression in the cerebral cortex and its alternations in animal models of ASD. The 12th Annual Meeting of The Japan Society of Developmental Origins of Health and Disease/ 2024-10-13–2024-10-14. Sapporo.
- Sara Kamiya*, Tetsuya Sasaki*, Asumi Kubo, Koki Higuchi, Kenyu Nakamura, Yosuke Takkei. The role of IL-17A in the formation of the central nervous system and its abnormalities in autism spectrum disorders. The 12th Annual Meeting of The Japan Society of Developmental Origins of Health and Disease/ 2024-10-13–2024-10-14. Sapporo.
DoHAD学説(Developmental Origins of Health and Disease)は、発達期(胎児期や乳児期)の環境や栄養状態が、後の成人期の健康や疾患リスクに大きな影響を与えるという概念だ。この学説は、胎児が成長中に受ける栄養や環境の変化が、代謝や内分泌、免疫系に長期的な変化をもたらし、成人期に生活習慣病(肥満、糖尿病、心血管疾患など)やその他の健康問題のリスクを高めることを示している。
DoHAD学説は1980年代から1990年代にかけて、イギリスの疫学者デービッド・バーカー(David Barker)の研究から発展した。バーカーは、低出生体重の新生児が成人期に心血管疾患を発症しやすいという関連を発見し、この概念が広まった。バーカーの研究に基づいて、胎児期の栄養不足やストレス、妊娠中の母親の健康状態が、胎児の臓器や代謝系の発達に影響を与え、それが一生を通じて健康に影響を与えることが明らかになった。
DoHAD学説の主なポイントは以下の通りである。
- 胎児期のプログラミング:胎児は母体の栄養状態や環境に応じて発育を調整し、これにより、成長後の健康に影響を与える「プログラム化」が行われる。
- 環境要因の影響:母体の栄養、ストレス、病気、環境汚染などが胎児の発達に影響を与え、将来の病気のリスクを高める可能性がある。
- マルチジェネレーション効果:この影響は一世代にとどまらず、次世代にまで及ぶ可能性があり、遺伝やエピジェネティクスの観点からも研究が進んでいる。
- ライフコースアプローチ:DoHADは、人生の早期(特に胎児期と幼少期)に行われた介入が、将来の健康に大きな影響を与えることを示唆している。そのため、妊婦の健康管理や幼少期の栄養状態の改善が、公衆衛生上重要だとされている。
DoHAD学説は、成人病の予防や健康促進に新たな視点を提供しており、特に妊娠中の栄養や生活環境の管理が、長期的な健康維持に重要であることを強調している。
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