第278回つくばブレインサイエンス・セミナーが開催されます

日時:12月19日(火)18時開始予定

場所:筑波大学・医学エリア・健康医科学イノベーション棟8階講堂

演題:化学遺伝学による霊長類高次脳機能を支える神経回路の探索 

演者:小山佳先生 (量子科学技術研究開発機構脳機能イメージング研究部 主任研究員)

講演要旨

脳の前方部に位置する前頭前野は、様々な脳領域との入出力を介し、複雑な高次脳機能を発現させるための重要な拠点となっていることが知られている。しかし、それらの領域間をつなぐ経路において、具体的にどのような情報が送られ、どのような統合がなされているのかは多くのことが未解明である。これまでの、主にげっ歯類を中心とした研究により、個々の神経経路が異なる情報を送っていることが示唆されているが、霊長類を対象とした研究は技術的な制約からほとんど行われていない。また、いくつかの精神・神経疾患では、特定の神経経路の不調が生じていることが示唆されているが、その因果性や脳全体に与える影響など、詳細はほとんどわかっておらず、霊長類モデル動物における脳回路介入研究による検証が待ち望まれている。 

本発表では、特に霊長類で発達した、脳の前方部に位置する前頭前野と皮質下領域のさまざまな高次脳機能の実現において果たす役割を、ある脳領域からの出力を制限し、その因果的機能を推測する上で有力な技術の一つである化学遺伝学的手法を応用し、複雑な入出力をもつ前頭前野の機能の解明を試みた一連の研究について紹介する。 

また、低侵襲、長期間、簡便、かつリモートに脳機能を操作することのできる化学遺伝学的手法を応用した、特定脳回路不調モデルサルの作製に向けた取り組みや、その今後の方向性・応用についても紹介する。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください