「解剖実習最終日によせて」

皆さん、6週間の実習お疲れ様でした。解剖実習の終了、おめでとうございます。

おめでとうございますと述べた理由を以下に述べたいと思います。やっぱり医学の目的っていうのは、病気を治すことであったり、あるいはその病気で苦しんでいる人の手助けをすることですよね。そうすると、やはり直接人の体から学ばせていただかないと、何もできないですね。

皆さんは、ご献体くださった方の助けを借りて勉強させてもらって、やっとスタートラインに立つことができたと、そういう所にいると思います。この先、皆さん2年生、3年生とだんだん勉強進んでいきますけれども、臨床実習で大学病院なんか出て行くと、病院に来た患者さんに手伝ってもらって、つきあってもらって勉強しないと行けないですよね。

卒業したら今度は皆さん治療する側に立ちますけど、治療しながらその患者さんから勉強させてもらって、医師として成長して行くことになると思うんです。これは皆さんが年をとって、もう活動できなくなるまでずっと続くんですよね。ずっとそうやって、患者さんから勉強させてもらう。そういうプロセスの一番最初のところにこの解剖実習があるという位置づけかなと思います。それが本日無事終わりましたので、本当によかったなと思って、皆さんと一緒に喜びたいと思います。

実習が終りに近づきましたので、昨日、私は慰霊塔(平砂学生宿舎の近く)にお参りに行きました。新しいお花が備えられていました。おそらくこんなの学生さんのどなたかじゃないかなと思ったんですけど、誰かわかんないですけど、良いことをして下さったなと思っています。

本当に大変な実習でしたけど、皆、色んなことをそれぞれ勉強されたのではないかと思います。本に書いてあることと実際のギャップっていうのは皆さん、あのすごく痛感されたんじゃないかと思いますね。本に書いてあることは、あくまで現実ではなくて、誰かの頭の中で整理したものですから、それと実際の体は全然違いますよね。皆さんがこれからいろんなところで接する患者さんとか、病気っていうのも教科書の中にこう整理されて並んでいるものが全然違って、ひとりひとり違う。もうそれこそわけのわからないものですね。そういうよくわからないものと格闘して行く土台になったんじゃないかと思っております。と言うことで、本当にご苦労様でした。

これからの皆さんの活躍を期待しています。

2022年6月24日(金) 筑波大学 医学群医学類 系統解剖実習 納棺式にて

医学医療系 生命医科学域 解剖学・神経科学研究室 教授

医学類長

武井 陽介

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