「機能なき構造は死体、構造なき機能は幽霊」
(“A structure without function is a corpse, and function without structure is a ghost”)
By Vogel and Wainwright (1969).

「機能なき構造は死体、構造なき機能は幽霊」という言葉は、1969年にボーゲル（Steven Vogel）とウェインライト（Stephen A. Wainwright）によって述べられたものである。生物学やシステム論における重要な概念を比喩的に表現している。

「機能なき構造は死体」： 単に形だけがあって実際の役割を果たさないものは、生命のない物体に過ぎないということを示しているのである。生物学的には、例えば体の一部が機能を失った状態を指すかもしれない。工学的には、目的もなく設計された構造物を批判しているとも解釈できる。

「構造なき機能は幽霊」： 逆に、具体的な形や実体がないのに機能だけが存在するという概念は、現実世界では存在し得ず、幽霊のように捉えどころがないということを表している。

この言葉が強調しているのは、構造と機能の密接な関係性である。生物学では、形態と機能の関連性（形態機能相関）として知られる概念に通じる。つまり、生物の形態はその機能と密接に関連しており、互いに切り離せないということである。工学や設計の分野でも、この考え方は重要である。製品やシステムを設計する際には、その構造が意図された機能を効果的に果たすように考慮する必要がある。同時に、機能だけを考えて適切な構造を無視することも避けるべきだということを示唆している。

この引用は、自然界や人工物において、形態（構造）と機能が調和することの重要性を端的に表現しており、多くの分野に応用可能な洞察を提供している。生命活動がなくなった死体であっても、その構造から機能を推測し、科学的に理解することが可能である。

2024年12月12日掲載