生命環境学群生物学類人間生物コース3年生を対象とした骨学実習、神経解剖実習、解剖実習を行いました。スタッフが、標本を見せながら、生物としてのヒトの特徴を説明しました。
ヒトの解剖学的・生理学的特徴を、他の生物種(特に霊長類)と比較します。
脳・神経系の特徴:
- 脳重量が体重比で極めて大きく(約2%)、特に大脳新皮質が発達
- 前頭葉が顕著に発達し、高度な認知機能や言語処理が可能
- 視覚野が発達し、両眼視による精密な立体視が可能
- 言語野(ブローカ野、ウェルニッケ野)が特異的に発達
運動器系の特徴:
- 完全な直立二足歩行に適応した骨格構造(S字状の脊柱、広い骨盤)
- 足のアーチ構造による効率的な衝撃吸収と推進力生成
- 高度な操作性を持つ手(親指の対立、精密把握能力)
- 肩関節の可動域が大きく、投擲動作が可能
感覚器系の特徴:
- 色覚が発達(三色性色覚)
- 聴覚が中周波数帯域に特化
- 嗅覚は相対的に退化
- 皮膚感覚が発達し、特に指先の触覚が優れている
体温調節系の特徴:
- 発達した汗腺(特にエクリン汗腺)による効果的な体温調節
- 体毛の減少による放熱効率の向上
- 皮下脂肪の分布が特徴的(特に女性)
消化器系の特徴:
- 雑食性に適応した消化器官(比較的単純な胃腸構造)
- 小さな顎と歯(特に犬歯の退化)
- 調理による消化の外部化への適応
生殖・発生の特徴:
- 出産時の新生児の未熟さ(二次的早産仮説)
- 長い育児期間と緩やかな発達過程
- 閉経後の長い寿命(祖母仮説)
免疫系の特徴:
- 高度に発達した適応免疫システム
- 多様な病原体への対応能力
- 自己免疫疾患の発症しやすさ
これらの特徴は、文化的・社会的な発展と密接に関連しており、相互に影響を与え合いながら進化してきました。特に、大きな脳と高度な手の操作性、効率的な体温調節システムの組み合わせは、ヒトの生態的地位を特徴づける重要な要素となっています。
人間は我々にとって最も身近で複雑な生き物です。「人間生物コース」では、生物の一種としての人間に的を絞り、人間を制御する基本原理や法則を学びます。このコースの一部の授業は医学群や体育専門学群の教員によって行われます。しかし、学習の目的はあくまでも人間を生物学的に理解することにあり、医学や医療科学の立場とは異なります。
生物学類人間生物コース、医療科学類国際医療科学主専攻の学生の方、私たちの研究室で卒業研究と大学院での研究を行いませんか?興味がある方は、ぜひお問い合わせください。

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