本日は某試験の後片付け作業のため休講日となっており、セミナーに参加する学生の数も少なかったです😢いつも元気な某学生の方はARE最終報告会に参加しましたが、レポートが終わらないのでヤバいとのことで欠席でした。M4のNさんが研究進捗報告を、スタッフが論文紹介を行いました。特任研究員の方がクロスアポイント先から駆けつけてくださいました。生物学類の学生の方が、お土産をくださいました。ありがとうございました!セミナー後は冷たい雨となりました☔
Science. 2021 Nov 5;374(6568):762-767. doi: 10.1126/science.abj7960. Epub 2021 Oct 7.
The glial framework reveals white matter fiber architecture in human and primate brains (グリアフレームワークにより、ヒトと霊長類の脳における白質繊維の構造を明らかにする)
Roey Schurr, Aviv A. Mezer (Edmond and Lily Safra Center for Brain Sciences, Hebrew University of Jerusalem, Jerusalem, Israel)
要旨
白質軸索の構造を解明することは、脳のネットワークを研究する上で重要です。本研究では、死後のNissl染色切片を使用し、約15マイクロメートルの解像度で軸索の配向を定量化する手法を開発しました。この方法は、白質内のグリア細胞の空間的配置を利用し、構造テンソル解析によって軸索の局所的な配向を明らかにします。本手法は、人間と非ヒト霊長類の複数のデータセットに適用可能で、種を超えた白質構造の詳細比較に寄与することが期待されます。
背景
神経科学の長年の目標の一つは、脳の神経回路をマッピングすることです。特に白質の詳細な構造を解明することは重要ですが、既存の方法は動物研究や特殊な装置に依存しており、Nissl染色による白質の研究はこれまで行われていませんでした。
方法
Nissl染色切片に基づき、構造テンソル解析を行うことで、白質内のグリア細胞の局所的配向を計測。高解像度の画像処理技術を用いて、軸索構造を視覚化しました。この手法は6つの独立したデータセットに適用され、白質の詳細な配向マップを作成しました。
結果
Nissl-ST法は、人間および非ヒト霊長類において、主要な白質線維束の構造を明確にすることができました。他の技術(例:偏光光イメージングや拡散MRI)と比較しても、より細かな構造が得られました。また、軸索交差領域においてもグリアの構造が維持されることが確認されました。
議論
提案された手法は、既存のNissl染色データセットに容易に適用でき、白質構造の詳細な地図作成に寄与します。さらに、開発、老化、または病理学的状態における白質研究に活用できる可能性があります。これまで白質研究に使用されていなかったNissl染色を活用し、他の方法よりも高解像度で白質構造を視覚化できる点が新規性です。提案された手法は2次元データに基づいており、軸索の面外方向の配向には対応できません。また、染色の変動や画像ノイズが結果に影響を及ぼす可能性があります。発達や病理学的条件下での白質構造の研究、既存のNissl染色データセットを用いた白質経路の再構築、種間比較や健常脳と疾患脳の比較に応用が期待されます。
