本日は、(公的な)仕事始めになります。午後から雨が降り出し夕方には本降りになりました。本当に久しぶりに雨が降りました。実験室の外からは雨音が響いています。生物学類の卒業研究生の方は、朝から淡々と作業していました。もうすぐ卒業研究発表会なので、準備を一緒に頑張りましょう。新年早々、講義と臨床実習を終えた医学類生が午後から研究室に来て、データの解析や培養細胞の状態を確認してくれました。昨年末の実験で、培養細胞のviabilityに影響していたcritical pointがわかったようです。お二人とも自律して作業できる方たちなので、研究室の力になってくれています。今年も、身近にいる学生の成長と活躍を見るのが楽しみです。
実験生物学・実験医学の分野では、実験と勉強どちらも必要になります。生物学の進展とともに、研究活動に求められる知識と実験手法がどちらも複雑化・高度化しており、学部の講義・実習内容と研究室配属後に必要な知識・技術との乖離が大きくなっているようにも感じています。
生物系研究におけるインプットとアウトプットのバランス:防御力と攻撃力の観点から
〇生物系研究の特徴
生物系研究には独特の複雑さが存在します。生命現象は多くの要因が絡み合い、完全な制御が困難です。同じ実験条件下でも異なる結果が得られることも珍しくありません。このような特性により、十分な先行研究の理解や実験手法の習得、すなわち「防御力」の構築が不可欠となります。また、生物を扱う性質上、実験系の確立に considerable な時間を要します。条件検討や生物の育成には長期的な取り組みが必要であり、この過程でも深い知識と理解、つまり強固な「防御力」が求められます。
〇相互補完的な発展
研究の進展において、インプットとアウトプットは相互に補完し合う関係にあります。実験結果というアウトプットから新たな課題を見出し、それに対する文献調査というインプットを行うという循環的なプロセスを通じて、両者のバランスを取ることが可能となります。この過程で、既存研究との差別化という「攻撃力」と、確立された手法や知見に基づく信頼性という「防御力」の両立が実現されます。
生物系研究において、十分な「防御力」の構築があってこそ、効果的な「攻撃力」を発揮することが可能となります。インプットとアウトプットのバランスを意識した研究活動を展開することで、着実な研究の進展が期待できます。日々の研究活動において、この両者の関係性を意識することは、研究者としての成長と研究成果の創出に重要な示唆を与えてくれると思います。

桃李言わざれども下自ずから蹊を成す
李広は前漢の将軍であり、清廉な人物であったとされる。司馬遷はこの人柄について、「桃李言わざれども下自ずから蹊を成す」(桃や李(スモモ)の木は何も言わないが、その下には自然と人が集まって道ができる)と評した。