先週から引き続き、週末に学会に参加しました。会場の周りに、銀杏の立派な木があり、落葉に日差しが反射して黄色い絨毯のようでした。日本で学会が週末に開催されることには、以下のようなメリットとデメリットが考えられます。
良い点
- 参加しやすさの向上:
平日に学会が行われると、研究者や医師、教員などは通常業務との兼ね合いで参加が難しくなることがあります。週末開催であれば、平日の仕事に支障をきたさず、参加しやすくなります。また、遠方からの参加者にとっても平日休暇を取得する必要が減り、移動計画を立てやすい場合があります。 - 集中度の向上:
平日の業務中は、電話対応やメール処理など日常業務が並行して発生しがちですが、週末開催の場合、通常業務から解放され、学会内容に集中できる傾向があります。そのため、発表・議論への没入度が上がる可能性があります。 - 参加者数の確保:
研究者以外にも、大学院生や若手研究者、臨床医らが週末であれば学会に足を運びやすくなり、参加者数や質疑応答の活発化につながりやすいです。
難しい点
- プライベート時間への侵食:
週末は本来、休息や家族との時間、趣味の時間に充てることが多く、そこに学会出席を組み込むと個人のライフバランスが崩れやすくなります。特に、育児や介護など週末に行うことを前提とした家庭内労務がある場合、参加が難しくなることもあります。 - 疲労蓄積のリスク:
週末の学会参加により、連続稼働状態になってしまうことで、心身の疲労が回復しにくくなります。これが長期的に続くとバーンアウトやパフォーマンス低下につながる可能性があります。 - 参加コストの増加:
週末の交通費や宿泊費は繁忙期扱いで平日より高くなる場合があります。また、週末の公共交通機関の運行本数が少なかったり、学内施設が平日ほど整備されていなかったりすることで不便が生じることもあります。
週末開催は参加ハードルを下げ、学会議論の質向上に寄与する一方で、参加者のプライベートな休息時間を犠牲にするリスクも抱えています。そのため、参加者層や開催主旨に応じて、最適な開催時期を吟味することが求められます。コロナ禍が明けて、対面の学会や研究会に参加するとそのメリットは大きいと感じます。教員の業務が増加している現在において、ハイブリット開催はありがたいと思いますが、コストの高さや運営の難しさもよく感じます。卒業研究も大詰めですし、来週末も北国で研究会ですので体調管理には十分気をつけたいです。


私は自分の仕事を神聖なものにしようとしていた。
ねじ曲がろうとする自分の心をひっぱたいて、できるだけ伸び伸びしたまっすぐな明るい世界に出て、そこに自分の芸術の宮殿を築き上げようともがいていた。それは私にとってどれほど喜ばしい事だったろう。と同時にどれほど苦しい事だったろう。私の心の奥底には確かに――すべての人の心の奥底にあるのと同様な――火が燃えてはいたけれども、その火を燻らそうとする塵芥の堆積はまたひどいものだった。かきのけてもかきのけても容易に火の燃え立って来ないような瞬間には私はみじめだった。
私は、机の向こうに開かれた窓から、冬が来て雪にうずもれて行く一面の畑を見渡しながら、滞りがちな筆をしかりつけしかりつけ運ばそうとしていた。
寒い。原稿紙の手ざわりは氷のようだった。
「生まれいずる悩み」(有島武郎)
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